7月2日東京ビッグサイトで行われた「XR・メタバース総合展」にてXREAL社による、XREAL発表会が行われた。筆者も今回報道陣として参加することが出来たので、実際の発表内容を振り返っていこうと思う。
XREAL One Pro7月24日発売
「本日、XREAL One Proをリリースさせていただきます」
プロダクトマネージャーの高天夫氏は、「X」やGoogleトレンドにおいて、AR分野のキーワード検索数が年間で70%もあることに触れた後、スライドを切り替えて新たに「XREAL One Pro」のリリースを発表した。
XREAL Oneとの違い
既存製品であるXREAL Oneとの一番重要な違い、高氏は「新開発の光学モジュールを搭載したことで、これまで50度だった視野角が57度まで広がり、より広い映像世界を体験できるようになりました」と話す。また「新しい光学モジュールは、従来よりも小型化を実現し、本体が大きくなることなく、よりコンパクトなデザインを実現しました」と語っており、実際一回り小さくなり、さらに目に見えて薄くなっていた。


めちゃくちゃカッコいいフレーズだ。
また名前が従来の「BirdBath」から「X Prism」へと変わっており「大きさが44%軽減され、見える世界が38%広くなりました」と面積が変わったことを大きく強調した。続けて「従来モデル「BirdBath」では、下からの反射や横からの散光がどうしても残ってしまい、映像のクリアさに課題がありました。しかし、新開発の「X Prism」では、最新の光学モジュールを採用したことで、下や横からの余計な反射や散光がほぼ99%カットされ、これまでにないクリアな視界を実現しています。しかも、この技術は量産にも対応できるようになりました」と高氏。ARグラスとして初とのことで、ARグラス業界の最前線を行く企業として常にバージョンアップを重ねていることを感じる説明だった。またXREAL Oneと同じX1チップを搭載していて変わらずMPPレイテンシの遅延が3ミリ秒に抑えられている。

X1チップには様々な機能が搭載されているが、まだ半分ぐらいしか発揮できていない、いろんな機能が追加される予定と語り、今後の展開にも期待を持たせた。その中の機能として「サイドスクリーンの大きさが変えられるようになった」ことと「自動調光対応」、見えている部分と見えていない部分を頭を移動するだけで調光クロミック機能が働き、透き通って見えるようになると語った。
音響部分もXREAL Oneから引き続きBoseのチューニングで、若干OneよりOne Proのほうが音質が良くなる。
更に「明るさの調整は従来通り三段階で行えますが、最大の明るさが従来より100nitアップし、700nitになりました。特に昼間の屋外など明るい環境でも、700nitの高輝度なら画面がしっかり見やすくなっています」と説明した。

リフレッシュレートの部分はXREAL Oneと変わらず最大120Hzだが、Oneの最大300インチ相当の画面からさらに進化して10m先に428インチ相当の画面が表示されるようになる。また、XREAL Oneで好評だった32:9のワイドスクリーンに合わせて先日Oneにもアップデートで追加された21:9のバージョンも対応しているとのことだ。


ここまでXREAL Proとの違いについて話してきた高氏だったが、今まで紹介した画像のまとめと共に、お話させていただきたいことがあると右下の画像を指しながら説明を始めた。

「XREAL One Proは、Mサイズ(瞳孔間距離57~66mm)とLサイズ(66~75mm)の2つのサイズを用意することで、幅広い瞳孔間距離(IPD)に対応できるようになりました。これにより、従来のARグラスではIPDが合わずに体験が最適でなかった方も、約95%のユーザーが自分に合った快適な装着感と映像体験を得られるようになっています」と高氏。実際眼鏡でもIPDが合わないと、眼精疲労が起こりやすくなるので、この配慮はユーザー目線で素晴らしいと感じた。
また先日発売されたXREAL Eyeにも触れ、いい評価が貰えていること、空間アンカー機能により真の6DoFが可能になったことを強く強調した。
気になる価格発表
一通りの説明を終え、高氏が「ここまで主なポイントをお伝えしてきましたが、いよいよ皆さんが一番気になっている「価格」について発表します」と前振りをし、遂に価格が発表された。
気になるお値段は84,980円(税込み)、予約期間が発表日の7月2日11時から7月23日夜12時までとなること、またこの期間中に予約をされた方にはXREAL Hubも無料でプレゼントするとのことだ。XREAL Oneが69,980円(税込み)なので15000円の価格差になる。

発表はこれで終わりではなかった、CEO登場
これにてXREAL One Proの発表が終わったが、これだけではなかった。高氏が「今回はスペシャルゲストをお招きしています。きっと、ここでしか聞けない素晴らしい情報をたくさんお話しいただけると思います」と一緒に登壇されていた尾崎氏にマイクが渡る。
「もうすでにお気づきかと思うんですけれども、本社からCEOの徐馳が来日しています。暖かい拍手でお迎えください」、大きな拍手とともに登壇されたのはXREALの創業者でありCEOの徐馳(Chi Xu:チー・シュー)氏。通訳の方を通して英語で「まずはこの度会場にお越しいただきありがとうございます、久しぶりの日本というところで、これからXREAL One ProとEye以外のアップデートについて共有させていただきます」と新たな発表が始まった。

Project Auraの詳細発表
「皆さんがおそらく期待されていると思いますが、こちらがProject Auraです」そう言いながらスライドを変える徐氏。「今回は、GoogleさんとQualcommさん、XREALの三社で提携をしております。これは、Androidのエコシステムにとって初めてのARグラスの採用となります」と語った。続けて「これまで十年近くこの業界にいますが、本当にもう少しでゴールにたどり着けそうな感じがしております」と嬉しそうに話していた。

Project Auraに関しては5月のGoogleのI/Oカンファレンスにおいて発表があり、私達も取り上げて記事を書いており、内容自体もかなり話題にも上がっていたので、やはりここで改めて発表をするんだなと感じた。
更に「ハードウェアやその他の面でも、これまでより軽量化が進んでいます。また、Googleの協力により、よりオープンなエコシステムへの参加が可能になりました。もちろん、最新のAIであるGeminiにも対応しています」と続けた。

XREAL Auraには新たなチップ『X1Sチップ』を搭載
「これまで自社開発してきたX1チップをさらに進化させ、より高性能な『X1Sチップ』を新たに開発しました。従来モデルと比べて処理速度が25%向上しており、この最新チップは今後『Project Aura』に搭載される予定です」と説明する徐氏。X1Sチップに関しても6月のAWE(Augmented World Expo)にて発表があったが、こちらも反響が大きく、QualcommのSnapdragonだけではなく、自社のチップも積むことに多くの反応があったと記憶している。


驚異の視野角70度
「Project Auraは、70度以上の広い視野角を持っています。これは光学シースルー型のデバイスとしては最大の視野角になっております」と強調した。XREAL One Proが57度でこの後実際に体験をしたが、57度の時点で本当に充分すぎるくらいに感じたので、ここからさらに15度近くも広がると最早グラスを掛けていることすら忘れるくらいの没入体験になるのではないかと非常にワクワクした。

また、「今回のデザインや設計はすべてXREAL社内で手がけており、そのことを大変誇りに思っています。また、この広い視野角を実現したデバイスが、Android XR業界全体にポジティブな影響をもたらすと考えています」と徐氏は語った。
気になるAuraの登場時期は2026年予定
気になる発売日について直接の時期は発表は見送ったが、2026年に登場する予定とのこと。またこのプロジェクトに関する情報は画像内のリンクをぜひチェックしてほしいとのことだった。

最後に徐氏は「我々XREALが日本初のAndroid XRデバイスになります。日本でも来年Project Auraを出せるように頑張ります」と締め、発表会は幕を閉じた。
XREAL OneとOne Proは使い分け
XREAL OneとProでは搭載のチップは変わらない。個人的にProなどの名称が付くときは、「内臓チップがより高性能になり、ハイパフォーマンスになる」イメージがあったが、徐氏は「視野角や明るさの違いで用途別に使い分けをしてもらう想定です」と語った。Auraも含めて、ユーザー自身が普段使う状況に応じて値段と性能を比較しながら、用途に合ったものを購入するというスタイルで検討してほしいということだろう。
まとめ|XREALとAndroid XRが映す未来
今回の発表会後、XREAL体験会に向かった際感じたことだが、午前中はメディア向けの解放時間で、一般参加者の体験会は午後からの予定だった。しかし、メディア以外の様々な参加者が午後からの整理券を受け取っている光景を目にして、ARグラスへの注目度が日々高まっていることを非常に肌で感じた。まだまだ盛り上がりを見せるコンテンツにこれからも目が離せない。
徐氏は「iPhoneが登場したときのような時代を変える大きな衝撃が、XRでも2027年から2028年にかけて訪れると考えています。その新たなイノベーションによって、XR業界はさらに大きく盛り上がると思っています」と話していたが、まさにその言葉通りで、今はまだガジェットの一部のようなものでも、将来我々が当たり前に身に着けているものになる、そんな未来がやってくるかもしれないと感じる発表会だった。

次回記事ではライター達によるXreal Eyeの体験記事を投稿予定だ、高氏から注目ポイントなど話を聞くことが出来たので、ぜひ楽しみにしていてほしい。