XREAL|ARグラス「XREAL One」を6DoF化する専用カメラ「XREAL Eye」

[更新]2025年7月17日17:40

 - innovaTopia - (イノベトピア)

AR(拡張現実)グラス市場をリードするXREALは、主力製品であるARグラス「XREAL One」専用のカメラアクセサリー「XREAL Eye」を発売した。本製品は、既存の「XREAL One」に装着するだけで、完全な6DoF(6自由度)トラッキングと、ユーザー視点でのハンズフリー撮影を実現するものだ。価格は13,980円(税込)。

XREAL Eye公式サイト

ARの常識を変える「空間アンカー」機能

「XREAL Eye」がもたらす最大の進化は、ARグラス「XREAL One」のトラッキング機能を、従来の3DoF(頭の回転のみを検知)から6DoF(頭の回転に加え、前後左右上下の動きも検知)へとアップグレードする点にある。

これは、約1.35gという超軽量な本体に搭載されたカメラが捉える外部の映像情報と、グラス本体に内蔵されたIMU(慣性計測装置)のデータを高度に組み合わせることで実現している。この技術により、ユーザーは仮想のディスプレイやオブジェクトを、現実空間の特定の位置に「アンカー(固定)」することが可能になった。

例えば、これまではユーザーが動くとそれに追従していた仮想スクリーンを、リビングの壁やカフェのテーブル上に固定することができる。これにより、ユーザーはスクリーンに近づいて映像の細部を確認したり、少し離れて全体を俯瞰したり、あるいは回り込んで別の角度から見たりといった、より自然で直感的なインタラクションが可能になる。この機能は、消費電力の増加を3%未満に抑えつつ実現されており、長時間の利用にも配慮されている。

この空間認識能力の向上は、エンターテイメント体験を飛躍させると同時に、生産性の向上にも大きく貢献する。仮想のマルチディスプレイ環境を構築し、物理的なモニターの制約から解放された広大なワークスペースで作業するといった、本格的な空間コンピューティング体験が身近なものになる。

見たままの世界を記録し、共有する高性能カメラ

「XREAL Eye」は、ユーザーの視点そのものを手軽に記録できる高性能カメラとしての側面も持ち合わせている。1200万画素のセンサーを搭載し、高解像度な撮影が可能だ。

また、電子式手ブレ補正(EIS)、ノイズ低減、アンチエイリアス処理といったアルゴリズムも搭載されており、歩きながらでも安定した映像を記録できる。撮影データは「XREAL One」本体の2GBストレージに保存され、PCなどに容易に転送できる。

さらに、Androidベースのコンパニオンデバイス「XREAL Beam Pro」と連携させることで、その可能性はさらに広がる。撮影データを「XREAL Beam Pro」の大容量ストレージに直接保存したり、ARグラスに表示されている仮想オブジェクトとカメラが捉えた現実の風景を組み合わせたMR(複合現実)コンテンツとして記録・配信したりすることも可能になる。

製品仕様詳細

「XREAL Eye」の主な仕様は以下の通り。

項目スペック
製品名XREAL Eye
重量約1.35g
カメラ画素数1200万画素
写真解像度2016×1512ピクセル
動画解像度1600×1200ピクセル
フレームレート30fps / 60fps
動画撮影時間15秒、30秒、60秒から選択可能
絞り値 (F値)f/2.25
補正機能EIS手ブレ補正、ノイズ低減、アンチエイリアス処理
撮影フォーマットJPEG, MP4
対応デバイスXREAL One , XREAL One Pro (※単体使用不可)

プライバシーへの配慮と発売情報

ウェアラブルカメラデバイスの普及には、プライバシーへの配慮が不可欠だ。「XREAL Eye」には撮影時に必ず点灯するLEDライトと、無効化できないシャッター音が搭載されている。これは、撮影されていることを周囲の人々が認識できるようにするための明確な仕様だ。

「XREAL Eye」の価格は13,980円(税込)。本製品の登場は、ARグラスが単なる「ウェアラブルディスプレイ」から、現実世界とデジタル情報をシームレスに融合させる「空間コンピューティングデバイス」へと本格的に進化していく上での、重要な一歩と言えるだろう。

まとめ

XREAL Eyeは、ARグラスの体験をより実用的な次元へと引き上げる、重要なアクセサリーである。これまで「見る」ことが主体であったARグラスに、「空間を認識する」「見たままを記録する」という具体的な機能が加わったのだ。

ディスプレイを空間に固定できるという一点だけでも、エンターテイメントの楽しみ方から、日々の業務における生産性まで、その可能性は大きく広がる。これは、ARグラスが一部のギーク向けガジェットから、多くの人々にとって便利なツールへと進化していくための、本格的な始まりと言えるだろう。我々が当たり前のようにスマートフォンを使う未来において、このデバイスはその確かな一歩なのである。

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まお
おしゃべり好きなライターです。趣味は知識をためること。

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