2024年8月5日(月)、ソフトバンクグループの株価が大幅に下落し、前週末比で約19%の下げを記録した。これにより、同社の時価総額は約28.3億ドル(約4兆円)減少した。(下記の図はFinboardより引用)

この株価下落により、創業者兼CEOの孫正義氏の個人資産も46億ドル(約6,600億円)減少したと報じられている。
株価下落の背景には、世界的な株式市場の下落や、日本銀行の金融政策変更による円高などがある。日経平均株価も同日12.4%下落し、1987年の「ブラックマンデー」以来の大幅な下げとなった。
ソフトバンクグループの株価は、2024年初めから上昇傾向にあり、傘下の半導体設計大手Armの株価上昇などが好材料となっていた。しかし、今回の下落により、年初来の上昇分のほとんどが失われ、わずか1.7%の上昇にとどまっている。
ソフトバンクグループは8月9日(水)に2024年度第1四半期決算を発表する予定で、投資家はVision Fund部門の回復継続に期待を寄せている。
孫正義氏は最近公の場から姿を消していたが、6月に人工知能の未来について語り、AIが最終的に人間の1万倍賢くなると予測している。
from:SoftBank shares tank near 19%, wiping off $4.6 billion from founder Masayoshi Son’s fortune
【編集部解説】
ソフトバンクグループの株価急落は、単なる一時的な現象ではなく、グローバル経済の変動と技術投資の未来に対する市場の懸念を反映しています。この出来事は、テクノロジー業界全体に大きな影響を与える可能性があります。
まず、この株価下落の背景には、日本銀行の金融政策変更があります。長年続いた超低金利政策からの転換は、円高を引き起こし、輸出企業に打撃を与えています。ソフトバンクグループのような国際的な投資を行う企業にとって、為替リスクは無視できない要素となっています。
また、ソフトバンクグループの主力事業であるVision Fundの収益性に対する疑問も浮上しています。AIブームの過熱感が落ち着き始め、投資家たちは実際の収益や利益に目を向け始めています。これは、テクノロジー企業全般に対する市場の見方が変化していることを示唆しています。
しかし、この状況をネガティブにのみ捉えるべきではありません。ソフトバンクグループは、AIと半導体技術への大規模な投資を計画しています。これは、次世代技術の発展に向けた重要な一歩となる可能性があります。
長期的な視点で見ると、この株価下落は、テクノロジー投資の在り方に関する重要な議論を促す契機となるかもしれません。短期的な株価変動に一喜一憂するのではなく、持続可能な成長と革新的な技術開発のバランスを取ることの重要性が再認識されるでしょう。また、この出来事は、グローバル経済の相互依存性を改めて浮き彫りにしていると言えます。
最後に、ソフトバンクグループの創業者である孫正義氏のビジョンにも注目が集まっています。AIが人間の1万倍賢くなるという彼の予測は、テクノロジーの未来に対する大胆な展望を示しています。このビジョンが現実となるか、そしてそれがどのような社会的影響をもたらすかは、私たち全員が注視すべき重要な課題です。
【編集者の深掘り】
19%下落は他の日本株と比べて高いのか
8月5日の日本株市場において、日経平均株価全体は12.4%下落しました。ソフトバンクグループの19%という下落率は平均よりも確かに大きなものでした。
ソフトバンクグループの株価下落が特に大きかった理由としては、以下が考えられます
ブラックマンデー以上の暴落!と言われているが?
2024年8月5日の日本株の暴落とブラックマンデーを比較すると
- 2024年8月5日の暴落:
- 日経平均株価の下落幅:4,451円28銭
- 下落率:12.40%
- 1987年10月20日(ブラックマンデーの翌日)の暴落:
- 日経平均株価の下落幅:3,836円48銭
- 下落率:14.90%
下落幅は2024年の暴落(4,451円28銭)が、1987年のブラックマンデー(3,836円48銭)を上回り、過去最大となりました。
下落率は2024年の暴落(12.40%)が、1987年のブラックマンデー(14.90%)には及びませんでした。