Microsoft社は2025年4月16日、Windows 11 24H2向けの最近リリースした複数のアップデートがブルースクリーンクラッシュを引き起こしていると警告しました。
問題となっているのは、4月の累積アップデート「KB5055523」、3月のプレビューアップデート「KB5053656」、そして3月のパッチチューズデーアップデート「KB5053598」です。
これらのアップデートをインストールして再起動すると、エラーコード「0x18B」を含む「SECURE_KERNEL_ERROR」というブルースクリーン例外が発生する可能性があります。Microsoftは現時点で恒久的な修正を提供しておらず、「Known Issue Rollback (KIR)」というメカニズムを使用して対処しています。
個人用または非管理対象のマシンでWindows 11 24H2を実行している場合、ロールバックはWindows Updateを通じて自動的に適用されますが、適用までに最大24時間かかる可能性があります。再起動することで修正をより早く適用できる場合もあります。WindowsLatestによれば、設定を開いて更新プログラムを何度か確認し、PCを再起動することで、サーバーサイドのパッチをより早く取得できるとのことです。
企業のIT部門が管理するマシンについては、MicrosoftのアップデートサポートページからグループポリシーのMSIファイルをダウンロードし、文書化された手順に従ってインストールする必要があります。インストール後、ポリシーはグループポリシーエディタの「コンピュータ構成 > 管理テンプレート」に表示されます。
WindowsLatestによれば、一部のユーザーはより深刻な問題に直面しており、PCが30〜60秒ごとに再起動したり、まったく起動しなくなったりするケースも報告されています。また、4月のアップデート（KB5055523）はWindows Helloも破壊しており、顔認証でPCにサインインできなくなる問題も発生しています。Microsoftはこの問題を認識しており、2025年5月のアップデートで修正する予定です。
from:Free Blue Screens of Death for Windows 11 24H2 users
【編集部解説】
Windows 11の最新アップデートによるブルースクリーン問題は、現代のソフトウェア開発が直面する複雑な課題を浮き彫りにしています。複数のニュースソースを確認したところ、この問題は当初考えられていたよりも広範囲に及んでおり、3月から4月にかけての複数のアップデート（KB5053598、KB5053656、KB5055523）に関連していることが分かりました。
WindowsLatestの報告によれば、この問題は3月の時点で一部のユーザーから報告されていましたが、当初はMicrosoftによって認識されていませんでした。問題が「孤立したケース」と思われていたためです。しかし、4月のアップデート後に問題が拡大したことで、ようやく公式に認められました。
「Known Issue Rollback（KIR）」というMicrosoftの対応メカニズムは、2021年に導入された技術です。これは問題のあるコード変更だけを選択的に無効化できる優れた仕組みで、システム全体の安定性を維持しながら部分的な修正を可能にします。テクノロジーの進化において、このような「安全装置」の存在は非常に重要です。
興味深いのは、個人ユーザーと企業ユーザーで対応方法が異なる点です。個人ユーザーは自動的に修正が適用されるのを待つだけですが、企業のIT管理者はグループポリシーを手動で適用する必要があります。これは、企業環境では細かな制御が必要である一方、一般ユーザーには簡便さが求められるという、異なるニーズのバランスを取る試みと言えるでしょう。
また、BleepingComputerの報告によれば、この問題は4月16日に公式に認められましたが、修正の完全な展開には最大24時間かかる可能性があります。つまり、本日（4月17日）時点でもまだ一部のユーザーは問題を経験している可能性があるのです。
さらに懸念されるのは、WindowsLatestが報告しているように、この問題以外にもWindows Helloの機能不全や、さらに深刻なケースではシステムが30〜60秒ごとに再起動したり、まったく起動しなくなったりするケースも報告されていることです。Windows Helloの問題についてはMicrosoftも認識しており、5月のアップデートでの修正を約束していますが、その他の深刻な問題については公式な言及がありません。
XDAの報告によれば、同じ4月のパッチは、ARM系システムユーザーがMicrosoft StoreからRobloxを起動できなくなる問題も引き起こしています。また、特定バージョンのCitrixソフトウェアを使用している場合、セキュリティアップデートのインストールに問題が発生する可能性もあるとのことです。
長期的な視点では、このような問題はソフトウェアの複雑化と迅速なリリースサイクルの必然的な結果とも言えます。ユーザーとしては、重要なアップデートであっても、すぐに適用するのではなく、問題の報告が出揃うまで待つという選択肢も検討する価値があるでしょう。
最後に、Microsoftが最近数ヶ月間で複数の問題あるアップデートをリリースしている点は懸念材料です。これは、新機能の開発に注力するあまり、品質管理やテストが十分に行われていない可能性を示唆しています。テクノロジーの進化においては、新機能の追加と安定性のバランスが常に課題となります。私たちユーザーは、最新機能を享受したいという欲求と、安定したシステムを維持したいという要求の間で、常に判断を迫られているのです。
【用語解説】
Windows 11 24H2：
Windows 11の最新の大型機能アップデート。「24H2」は2024年後半（Half 2）にリリースされたことを示す命名規則である。新しいAI機能やユーザーインターフェースの改善が含まれている。
ブルースクリーン・オブ・デス（BSOD）：
Windowsシステムが回復不能なエラーに遭遇した際に表示される青い画面のエラー表示。システムが完全に停止することを意味し、一般的に「青い死の画面」と呼ばれる。かつては青い背景に白い文字でエラー情報が表示されていたが、最近のバージョンではより親しみやすいデザインに変更されている。XDAによれば、Microsoftは現在BSODの新しいデザインをテスト中とのことである。
Known Issue Rollback (KIR)：
2021年に導入されたMicrosoftの技術で、問題のあるアップデートの影響を受ける特定の部分だけを以前のコードに戻す仕組み。
KB5055523/KB5053656/KB5053598：
Microsoftが提供するWindows向けアップデートの識別番号。「KB」はKnowledge Baseの略で、それぞれのアップデートに固有の番号が割り当てられている。KB5055523は4月のパッチチューズデーアップデート、KB5053656は3月のオプショナルアップデート、KB5053598は3月のパッチチューズデーアップデートである。
Windows Hello：
Windowsのパスワードレス認証技術で、顔認識や指紋認証などを使用してデバイスにサインインできる機能。4月のアップデートによって機能が破壊され、顔認証でサインインできなくなる問題が発生している。
グループポリシー：
企業のIT管理者がネットワーク上の複数のコンピューターに対して一括して設定を適用するための仕組み。アナロジーで言えば、学校の校則のようなもので、個々の生徒（コンピューター）に対して一律のルールを適用できる。
【参考リンク】
Windows 11公式ページ（外部）
Windows 11の特徴、機能、対応デバイスなどの情報が掲載されている公式ページ
Microsoft Tech Community（外部）
マイクロソフト製品に関する技術情報やコミュニティディスカッションが行われるプラットフォーム
【参考動画】
【編集部後記】
皆さん、最新テクノロジーを追いかけるのは楽しいものですが、時に思わぬトラブルに見舞われることもありますよね。今回のWindows 11アップデート問題、皆さんの環境では影響はありましたか？WindowsLatestによれば、設定を開いて更新プログラムを何度か確認し、PCを再起動することで、修正パッチをより早く取得できるそうです。また、Windows Helloの問題も報告されていますが、こちらは5月のアップデートで修正予定とのこと。新機能をいち早く試したい気持ちと、安定性を重視したい気持ち、皆さんはどちらを優先していますか？SNSでぜひ皆さんの経験や対策法を共有していただけると嬉しいです。
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