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Telegram ユーザーが直接 TON で買い物できるMastercard、AlphaTON Capital が2025年内立ち上げ予定

Telegram ユーザーが直接 TON で買い物できるMastercard、AlphaTON Capital が2025年内立ち上げ予定

AlphaTON Capital Corp は2025年11月3日、Pago Pay および ALT5 Sigma Corp との戦略的ジョイントベンチャーを発表した。本ベンチャーでは、暗号資産対応の Mastercard ペイメントカードプログラムを開発・立ち上げる。

カードホルダーは World Liberty Financial を通じて、デジタルウォレットから直接 TON、USD1、その他の暗号資産をネイティブに利用できる。プログラムは米国および国際的な利用が承認された物理カードおよびバーチャルカードの両方を提供し、Mastercard を受け入れる世界中の商業施設で利用可能となる。

AlphaTON Capital はプログラムの所有と運営を行い、Pago Pay は技術インフラストラクチャとカード発行機能を提供する。AlphaTON Capital はプログラムの100パーセントの運営管理と収益シェアを取得するオプションを保持する。

両当事者は30日以内に最終合意書の実行を想定し、その後 Mastercard 申請提出およびアプリケーション承認プロセスを経て、初期カード生産およびプログラム立ち上げはおよそ90日で実現する見込みである。

From: 文献リンクAlphaTON Capital Corp Announces Strategic Joint Venture with Pago Pay and with ALT5 Sigma to Launch Crypto-Enabled TON Mastercard

【編集部解説】

暗号資産とメインストリーム決済インフラの融合が、具体的な形で進み始めました。今回のAlphaTON Capital と Pago Pay、ALT5 Sigma のジョイントベンチャーは、Telegram エコシステムに10億以上のユーザーを抱える環境で、初めてブロックチェーン資産をネイティブに利用できるMastercard プログラムをもたらすもので、技術的な意義よりもマーケット戦略的な意味合いが大きいといえます。

TON Card の最大の特徴は「ネイティブ暗号資産決済」という点です。従来の暗号資産決済は、ブロックチェーンウォレット内の資産を一度法定通貨に変換し、その後カード決済を実行するという2段階のプロセスを踏んでいました。本プログラムでは、ALT5 の統合取引所を通じてこの変換がシームレスに行われるため、ユーザー体験における摩擦が大幅に軽減される見込みです。Telegram 内に組み込まれた TON ウォレット(2025年7月に実装)と連携することで、チャットアプリから直接、世界中の何百万のMastercard 加盟店での決済が可能になります。

このプログラムがもたらす構造的な変化に注目する必要があります。AlphaTON Capital は、世界最大級の TON トークン保有企業として、本プログラムを通じた取引量の増加により、保有資産の流動性と価値が高まる仕組みになっています。同時に、Pago Pay はプログラムの技術基盤を提供することでレベニューシェアを獲得し、さらにAlphaTON Capital への株式参加を通じて、将来的な値上がり益も期待できる構造です。いわば、トークン価値の上昇→ユーザー採用→取引量増加→さらなるトークン価値向上という好循環を意図した戦略といえます。

規制面での課題も無視できません。Mastercard による承認プロセスは、単なるテクノロジー検証ではなく、反マネーロンダリング(AML)やテロ資金供与防止(CFT)、そして各国の暗号資産規制への適合性確認が含まれます。プレスリリースでは「30日以内に最終合意書を実行」「Mastercard 申請提出およびアプリケーション承認プロセスを経て、初期カード生産およびプログラム立ち上げはおよそ90日」と記載されていますが、こうした規制承認が予定通り進むかは不確定要因です。特に米国においては、暗号資産決済カードに対する規制環境がまだ整備途上であり、ビットコイン現物ETF承認後も、暗号資産の実利用に関する規制フレームワークは明確になっていません。

Telegram エコシステムそのものの地政学的リスクも考慮すべき要素です。Telegram 創設者のパベル・デュロフが2024年に逮捕・起訴された経験からも明らかなように、Telegram やその関連プロジェクトに対する各国政府の監視は厳しいものがあります。本プログラムが暗号資産決済の入り口になることで、規制当局の関心がさらに高まる可能性があります。

一方、このイニシアティブがもたらすポジティブなインパクトも看過できません。世界人口の約21%程度は銀行口座を持たないアンバンクド層であり、Telegram はそうした層にも広く利用されています。TON Card を通じた「銀行を持たない決済」の実現は、国境を越えた送金、海外との商取引、あるいは不安定な通貨圏での資産保護といった実質的なユースケースを生み出す可能性を秘めています。これは、Web3 やブロックチェーンが標榜してきた「金融包括性」が、初めて1億ユーザー規模で具現化されることを意味するのです。

AIおよびLLM技術によるスパムや詐欺の増加も懸念材料です。ペイメントカード化されることで、Telegram エコシステム内での不正トランザクション、フィッシング詐欺、あるいはボットを使用した自動詐欺行為が増加する可能性があります。実際のカードネットワーク運営を担う Pago Pay は、こうしたセキュリティ脅威に対する対抗措置を講じる必要があり、その実装の成否がプログラム全体の成功を左右する鍵になるでしょう。

長期的には、本プログラムは暗号資産決済のマインドシェア転換点になり得ます。これまで、暗号資産は「投機的資産」または「テク愛好家向けのニッチ商品」という認識が強かったものが、「日常的な決済手段」への転換を象徴するものになるからです。ただし、その実現には、プログラムローンチから実際のユーザー採用、そして継続的な利用まで、複数の段階的なハードルを越える必要があります。

【用語解説】

TON(Toncoin)
Telegram が開発したブロックチェーンプロジェクト。元々は「The Open Network」として計画されていた。スマートコントラクト機能を備えており、Telegram エコシステム内での決済や分散アプリケーションの実行基盤となる。

Mastercard
国際的なペイメントカードネットワーク企業。世界中の商業施設での決済インフラを提供している。決済カード関連の承認プロセスや規制対応に厳格な基準を設けており、新規プログラムの認可には慎重な審査が行われる。

ジョイントベンチャー(JV)
複数の企業が共同で新規事業を立ち上げる契約形態。本件では AlphaTON Capital と Pago Pay が共同でTON Card プログラムの運営と開発を行う。各企業の経営判断や収益配分について契約で定められる。

ステーキング
ブロックチェーンネットワークに暗号資産を預けることで、ネットワーク運営に参加し、報酬を得る仕組み。バリデーター(検証者)として機能する場合と、流動性提供による報酬獲得がある。

バリデーション(検証運営)
ブロックチェーンネットワークにおいて、取引の正当性を確認し、新しいブロックを生成するプロセス。AlphaTON Capital はTON ネットワークのバリデーターとしても機能している。

反マネーロンダリング(AML)
違法な資金を合法的に見せかけるマネーロンダリングを防止する規制要件。金融機関やペイメントサービスプロバイダーは、顧客確認(KYC)やトランザクション監視を実施する義務がある。

テロ資金供与防止(CFT)
テロリストやテロ組織への資金供与を防止する国際的な規制枠組み。AMLと同様に、ペイメントカード企業にとって重要なコンプライアンス義務である。

アンバンクド層
銀行口座を持たない世界人口の層。発展途上国や紛争地域において特に割合が高い。

【参考リンク】

AlphaTON Capital Corp 公式サイト(外部)
Telegram エコシステムに特化したデジタル資産企業。TON トークンの戦略的保有とバリデーション運営。

Telegram 公式ウェブサイト(外部)
10億以上のアクティブユーザーを持つメッセージングアプリ。End-to-End 暗号化通信を実装。

Mastercard 公式サイト(外部)
国際的なペイメントカードネットワーク企業。決済システム提供と規制監督を行う。

Telegram Bot Store(外部)
Telegram 内で利用可能なボット・アプリケーション配信プラットフォーム。

TON ブロックチェーン公式サイト(外部)
TON(Toncoin)ブロックチェーンの公式情報。仕様とドキュメント公開。

【参考記事】

AlphaTON Capital partners with Pago Pay to launch TON Mastercard program(外部)
AlphaTON Capital が Pago Pay とのジョイントベンチャー発表。TON Card プログラム立ち上げ。

Telegram launches built-in cryptocurrency wallet(外部)
2025年7月に Telegram が公式 TON ウォレット機能を統合。Card プログラムの基盤。

ALT 5 Sigma Launches ALT 5 Pay(外部)
ALT5 Sigma の暗号資産から法定通貨への変換プラットフォーム ALT5 Pay。

jp.investing.com – AlphaTON Capital、TON対応マスターカードプログラム(外部)
日本の投資情報サイトによる本件報道。日本市場向けの視点分析。

TipRanks – AlphaTON Capital announces JV with Pago Pay for TON Mastercard(外部)
米国の金融情報メディアによる報道。株価動向と投資家影響を分析。

【編集部後記】

いま、銀行口座のない人々が世界で約17億人存在します。そして Telegram には10億以上のユーザーがいます。もしこの TON Card が実現すれば、スマートフォンひとつで世界とつながる決済が可能になるかもしれません。

日常的に暗号資産を使う時代は、本当に目の前にあるのでしょうか。私たちもまだ答えを探り続けています。ぜひ、あなたの視点からも、この動きを一緒に考えてみませんか。

投稿者アバター
TaTsu
『デジタルの窓口』代表。名前の通り、テクノロジーに関するあらゆる相談の”最初の窓口”になることが私の役割です。未来技術がもたらす「期待」と、情報セキュリティという「不安」の両方に寄り添い、誰もが安心して新しい一歩を踏み出せるような道しるべを発信します。 ブロックチェーンやスペーステクノロジーといったワクワクする未来の話から、サイバー攻撃から身を守る実践的な知識まで、幅広くカバー。ハイブリッド異業種交流会『クロストーク』のファウンダーとしての顔も持つ。未来を語り合う場を創っていきたいです。

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