ゾウの幹細胞創出で絶滅危惧種保護への道開く、未来の医療にも光

[更新]2024年3月7日08:38

バイオテクノロジー企業Colossalは2021年に、絶滅した毛むくじゃらのマンモスの特徴を持つ遺伝子組み換えゾウを作るという目標を掲げた。2024年3月、同社の研究者は、体内のどの組織にも発展する可能性を持つゾウの幹細胞を作成したと報告した。この幹細胞は、iPSCs(誘導多能性幹細胞)として知られ、ゾウの保護に役立つ可能性がある。例えば、繁殖プログラム用のゾウの卵を大量に作ることが可能になる。また、ゾウががんになりにくい理由など、その特異な生物学を研究するのにも利用できる。

独立した研究者もこの細胞の可能性を高く評価しており、ゾウのがん抵抗性を研究する新たな可能性を開くとしている。この発見はまだ科学雑誌には掲載されていない。ハーバード医学大学のジョージ・チャーチ教授は10年以上前からマンモスの復活を試みており、マンモスと現存するゾウとの遺伝的差異を特定し、ゾウの胚のDNAを変更することで、マンモスが寒冷気候で生き残るための特徴を持たせることを目指していた。

【ニュース解説】

バイオテクノロジー企業Colossalは、絶滅した毛むくじゃらのマンモスの特徴を持つ遺伝子組み換えゾウを作るという野心的な目標を掲げて2021年に設立されました。2024年3月、同社の研究チームは、体内のどの組織にも発展する可能性を持つゾウの幹細胞を作成したと発表しました。これらの幹細胞は、誘導多能性幹細胞(iPSCs)として知られており、ゾウの保護や繁殖プログラムに役立つだけでなく、ゾウががんになりにくい理由など、その特異な生物学を研究するのにも利用できるとされています。

この技術の応用は多岐にわたります。例えば、絶滅危惧種であるゾウの保護に直接貢献することができます。研究者は、iPSCsを用いてゾウの卵を大量に作り出し、繁殖プログラムを強化することが可能になります。これにより、ゾウの個体数を増やし、絶滅のリスクを減らすことができるでしょう。

また、ゾウががんになりにくい理由を解明することは、人間を含む他の種のがん研究にも貢献する可能性があります。ゾウのこの特性を理解することで、新たながん治療法の開発につながるかもしれません。

しかし、この技術には潜在的なリスクも伴います。遺伝子組み換えによる生物の創出は、生態系への未知の影響を及ぼす可能性があります。また、絶滅種を復活させる試みは、現存する種の保護という観点から見ると、資源の分散を招く恐れもあります。

規制に関しても、この技術の進展は新たな課題を提起します。遺伝子組み換え生物の創出と利用に関する法律や倫理的なガイドラインの整備が求められるでしょう。

将来的には、この技術が生物学、医学、環境保護など、さまざまな分野で革新をもたらす可能性があります。しかし、そのためには、科学的な進歩と社会的な責任のバランスを取ることが重要です。長期的な視点から、この技術のポジティブな側面を最大限に活用しつつ、潜在的なリスクを管理するための努力が必要になるでしょう。

from Scientists Create Elephant Stem Cells in the Lab.


“ゾウの幹細胞創出で絶滅危惧種保護への道開く、未来の医療にも光” への1件のコメント

  1. 伊藤 明のアバター
    伊藤 明

    このような技術の進歩は本当に目を見張るものがありますね。絶滅危惧種であるゾウの保護や繁殖に貢献できる可能性があるというのは、私たちが地球上の生物多様性を守る上で非常に重要なことだと感じます。特に、私のような地域社会で生活する者にとっては、自然や生物の多様性は地球と共に生きる基盤であり、その保護は未来への投資だと思います。

    しかし、遺伝子組み換えによる生物の創出がもたらす潜在的なリスクについては、慎重に考えるべきだと思います。生態系への未知の影響や、絶滅種を復活させることが現存する種の保護に与える可能性のある負の影響は、私たちが真剣に考慮すべき問題です。私の経験上、地域の祭りやイベントで自然や生物とのつながりを感じることは、人間が自然の一部であることを思い出させてくれます。そのためにも、私たちは科学的な進歩を利用する際には、その影響を深く理解し、自然との調和を図ることが重要だと考えます。

    また、遺伝子組み換え生物の創出と利用に関する法律や倫理的なガイドラインの整備は、今後の大きな課題

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