ノルウェーのロボティクス企業1X社は2025年2月21日(金)、家庭用ヒューマノイドロボット「Neo Gamma」を発表した。
Neo Gammaは、前モデル「Neo Beta」の後継機
コーヒーを入れる、洗濯をする、掃除機をかけるなどの家事作業が可能
編み込まれたナイロン製のスーツを採用し、人との接触時の安全性を重視
限定的な家庭内テストを開始予定
OpenAIが初期出資者として参画
2025年1月にベイエリアのスタートアップKind Humanoidを買収
from:Norway’s 1X is building a humanoid robot for the home
【編集部解説】
技術的特徴と革新性
Neo Gammaの最も注目すべき点は、100Hzで動作する全身制御システムです。人間の動作データを活用した強化学習により、自然な歩行や腕の振りを実現しています。これは単なる機械的な動きを超えた、人間らしい振る舞いを目指した重要な進歩といえます。
音声システムには4つのマイクと3つのスピーカーを搭載し、胸部にAI対話用、骨盤部に低音用の360度サウンドシステムを実装しています。従来の産業用ロボットと比べて動作音を10dB低減し、冷蔵庫程度の静音性を実現したことは、家庭での実用化に向けた大きな前進です。
安全性への取り組み
1X社が採用した日本製のShemiseki機による3Dプリント製ナイロンニット素材は、人との接触時の安全性を重視した選択です。また、関節駆動にはテンドンドライブを採用し、柔らかいカバーで覆うことで受動的な安全性を確保しています。
AI統合の意義
OpenAIの出資を受けている1X社は、2025年1月にKind Humanoid社を買収し、独自の大規模言語モデル(LLM)を開発しています。しかし、現時点でKind Humanoidの技術はNeo Gammaには統合されていないことが確認されています。
市場における位置づけ
身長約1.6m、重量約30kg、歩行速度時速4kmという仕様は、一般家庭での使用を想定した適度なサイズ設計といえます。稼働時間は1回の充電で約4時間とされていますが、これは実用化に向けてさらなる改善が必要な部分かもしれません。
今後の展望と課題
家庭用ヒューマノイドロボットの実用化には、技術面での課題に加えて、プライバシーやセキュリティの問題も考慮する必要があります。特に高齢者介護での活用が期待される中、倫理的な配慮も重要になってくるでしょう。
1X社のCEOであるBernt Børnich氏が述べているように、「ロボットは人間と共に開発される必要がある」という視点は、今後のロボット開発の重要な指針となる可能性があります。
市場展開について
2025年中頃から北米、欧州、アジアの主要市場での本格的な商業展開を予定していますが、具体的な価格設定や販売台数については現時点で明らかにされていません。
【用語解説】
【参考リンク】
【参考動画】
みなさんは、「家庭用ロボット」と聞いて、どんなイメージを持たれますか?掃除機型やペット型以外にも、人型ロボットが私たちの生活に入ってくる日が、着実に近づいているようです。
特に興味深いのは、Neo Gammaが目指す「人と共生するロボット」というコンセプト。硬いメタルボディではなく、柔らかな素材を使用し、人との自然な対話を重視している点は、SF映画の世界が現実になりつつあることを感じさせます。